警察発表によれば、同月8日午後9時頃、マカオ半島にあるカムペックパラダイスカジノ付近で職務質問を実施した際、対象者となった男が身分証を提示できなかったという。しかし、男の所持品の中から香港居民IDカードを2枚発見。このうち1枚について、材質に不審な点があり、偽造と疑われたことから、詳しい事情を聞くため身柄を拘束したとのこと。
男は警察の調べに対し、2000年にギャンブル目的でマカオへ来て以来、カジノ施設を渡り歩く生活が続き、現在に至るまでオーバーステイを続けてしまったとした上、2011年からマカオで知り合ったカジノディーラー職の女性と交際、同棲していたこと、この女性は自身がオーバーステイ状態にあることを一切知らなかったと供述。身分証については、体調不良になった際、医療機関を受診するために旧フォーマットの香港身分証では不便だったことから、2017年に友人に依頼し、中国広東省珠海市で新フォーマットの偽造カードを600マカオパタカ(日本円換算:約7900円)で購入してもらったと説明したという。
IDカードは香港人の重要アイテム
IDカードとは、香港人にとって重要な身分証明書となる“香港身分證(Hong Kong Identity Card)”のこと。
顔写真や名前はもちろん、埋め込まれたICチップには指紋データや居住ステータス、出入国情報、さらに任意で各種サービス利用データなども登録されている。また、香港居民には常時携帯が義務付けられており、違反した場合は罰金が科せられるのだとか。
珠海で偽造したというIDカードは第5世代以前?
香港は1949年に中華人民共和国が建国されたのを機に、本土からやってくる大勢の人々を管理するためIDカードの発行を開始。1960年に第2世代、1973年に第3世代、1983年にPCに対応すべくIDになった第4世代が登場。1987年にはアップデート版となる第5世代、2003年にはスマートIDの先駆け第6世代が発行された。
2018年以降に発行された第7世代は、無線通信技術RFIDや高解像度写真、3Dホログラム、虹色パターン背景といった数々の最新偽造防止テクノロジーが施されているという。