22日、Las Vegas Sandsが2020年度2Q業績を発表。経営陣の主なコメントは以下の通り。
<経営陣>シェルドン・アデルソン(Sheldon G. Adelson) – 取締役会議長, CEO(Chairman and Chief Executive Officer)ロバート・ゴールドシュタイン(Robert G. Goldstein) – COO(President and Chief Operating Officer)パトリック・デュモン(Patrick Dumont) – CFO(Executive Vice President and Chief Financial Officer)
<市場展望>
・マカオ:早い回復に期待。潜在需要が蓄積(Pent-Up demand)。中国本土のビザ発給が再開すれば、市場の立ち上がりは急速
・シンガポール:徐々に再開。ただし、年内は、シンガポール国民(PRC含む)が主体
・ラスベガス:悲観的。空路、MICEウエイトが高く、カジノ売上構成が小さい<日本追求中止について(5月12日発表)>
・同社にとっては、経済合理性がない案件と判断
・現在の制度では、日本、自治体が政府が求めるような投資額は正当化されない(例えば、大阪IR基本構想の投資額の想定は、9,300億円)
・GGR納付金率、利益課税率(それぞれ30%)、日本の建設や運営のコストの高さを考慮
・ただし、アジア諸外国のような投資額, すなわち、30~40億ドル(3,300~4,400億円)レベルであれば、状況は変わる
・状況(制度、あるいは、各レベル政府が求める投資額など)が変わるならば、日本市場の再参加にはオープンマインドIRカジノジャパン:http://casino-ir-japan.com/?p=26990
GGR納付率とは…
事業者がカジノの粗収益に対して収める税率。日本の場合は、国と地方自治体にそれぞれ15%ずつで計30%と定められている。
これに加えて、カジノ管理委員会の経費の相当する定額納付金、法人税、固定資産税、地方税も賦課されるので、事業者の実質的な負担率は40%を超えるとみられます。シンガポールの約30%と比べてもちょっと高い印象は拭えないか…(-_-;)
ほかにも事業者への厳しい条件がいっぱい
▼免許更新年数は3年
3年という免許期限では、事業者がIR開発を進めている間に期間が満了して開業前に更新審査を受けなければならない…なんていう不合理な事態も起こりかねない。先行投資は10年単位で回収するのが普通だけにちょっと足踏みしちゃいますよね。
▼入場時マイナンバーカードの提示
日本人が入場する際は、入場料を支払わければならないことはご存じの方も多いですが、加えてマイナンバーカードの提示も必須なんです。ちなみに免許やパスポートなど、ほかの身分証明書ではNGとのこと。普及率は9.6%と激低だけに、個人的には入場料よりもこちらがハードルになりそうな予感が…
オープンマインドとか言っても未練はなさそう?
世界の事業者がコロナでキャッシュフローに傷を負うなか、投資規模のわりに将来が見通せない日本のIRに魅力を感じなくなるのは当然。LVSの撤退も妥当なところでしょう。
でも、事業者の数が減れば競争原理が働かなくなるし、逆に事業者の発言力が大きくなっちゃう可能性もあるんじゃないでしょうか。国がしっかり儲かるシステムを作った気でいるのかもしれないけど、ひょっとしてコレ、とんだ計算違いなんじゃ…?