横浜市がカジノを含む統合型リゾート(IR)の推進を表明し、22日で1年が経過した。新型コロナウイルスの感染拡大などで国や市の準備は大きく遅れている。林文子市長は2021年8月に任期満了を迎えるため、次の市長選の争点になる可能性もあり、先行きの不透明感は一段と強まっている。
「よりよい形でIRを推進していくため、8月とした公表時期を延期することにする」――。林市長は19日、IRの施設概要などを定めた「実施方針」の公表延期を表明した。市は4月、6月としていた公表のタイミングを8月に延期していた。再度の延期となり、今度は新たな公表時期を示さなかった。
林市長が延期の理由として挙げたのは大きく2点だ。一つが新型コロナの感染拡大を収束するための対応を優先するためで、もう一つが国が1月に示すはずだった「基本方針」が現在も出ていないことだ。
日本経済新聞 2020.08.24:
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62984440U0A820C2L82000/
申請時期の遅れにより林市長が任期切れ
2020年7月までに決定すると見られていた“IR基本方針”の公表はコロナの影響により無期限延期。横浜市においては、当初2021年1~7月と想定されていた国への認定申請スケジュールが後ろに倒れることで、IRを推進してきた林文子市長の任期が申請時期より前に切れてしまう事態に陥っている。
カジノを掲げて当選したわけではない
2017年の市長選で林市長はカジノについて「白紙」を掲げて3選を果たした。それゆえに2019年にIR誘致を表明した際には“出直し市長選挙”を求める声もあったが、林市長は「市会や経済界、市民の意見を聞いたうえで判断した」と反論。その必要はないと一蹴した経緯がある。
結局は市民の“信”を問うことになった
次の市長選において、林市長の対抗馬に“カジノ反対派”が擁立されることはほぼ確実で、選挙の争点がカジノの是非となる可能性は非常に高そうだ。
旗色次第では事業者の投資意欲にも影響を与えかねないだけに、市民への丁寧な説明が必要となるだろう。