カジノを閉鎖させ、旅行を事実上の停止に追い込んだ新型コロナウイルスのパンデミックの中、ある業界が大きな成長を見せている。それがオンラインゲーミング業界だ。
(中略)
事業者や政府職員はオンラインゲーミングが収入不足に立ち向かうためのやむを得ない選択肢だと考えるかもしれない。その理由は特に、アジアのプレイヤーは年間500億米ドルほどをオンラインで負けていると予想されており、プレイの圧倒的大部分が、国によって規制も課税もされていない中、国民が賭けを行なっているためだ。「アジアでは、政府は決断を下さなければならない。規制したいのか否か?」 ロンドンを拠点にするTottenham & Coのマネージングディレクター、アンドリュー・トッテナム氏は言う。「政府はこう言うことができる。自国民がギャンブルをしている。禁止し、銀行と協力してそれを止め、IPアドレスをブロックして、決済をブロックすることもできる。または、規制し、公平性を確保するようにすることもできる」
Iag JAPAN 2020.07.16
https://www.asgam.jp/index.php/2020/07/16/online-lifeline-jp/
世界の観光業が大打撃…オンラインはウハウハ
パンデミックが観光業に壊滅的打撃を与えるなか、カジノ業界もポストコロナへの生き残りをかけて奮闘中だ。そんな流れからか上記のようなオンラインゲーミングの是非が提言されている。今後カジノ施設が再開しても、事業者が損益分岐点に達するには5割程度の稼働が必要と言われており、税収の落ち込みやら失業者の増加やら…カジノ業界も先行きは前途多難。なんとか規制緩和もご検討いただきたいといったところだが、果たして従来のカジノが新時代の切り札とも言える『オンラインゲーミング』に舵を切ることはあり得るのだろうか?
オンラインに後ろ向きだったアジアの国々
カジノを合法とするアジア諸国の中でも、オンラインゲーミング解禁に前向きな国はない。カンボジアは過去、中国人をターゲットとしてオンライン事業への大規模投資を行ったが、中国政府の反発からあっけなく禁止に。フィリピンも同様に注力しているが、実店舗カジノでは自国民の遊戯を認めているのにオンラインは外国人専用の位置づけとなっている。マカオ・シンガポールも同様にオンラインを禁止しており、結局のところどの国の規制機関もオンラインに対して慎重な姿勢を崩してはいない。
裾野を広げれば、その対策も膨大に
とはいえ、オンラインが税収回復のための選択肢の一つであることは確かで、すでにアジアのプレイヤーは規制も課税もされず、年間500億ドルほどをオンラインで消費しているらしい。場所に捉われないことは強みでもあるが、各国の規制が届きにくいだけに、これらをどの程度反映できるシステムなのかが重要となってくる。また事業者にはゲームの公平性を担保することはもちろん、個人情報の管理やマネーロンダリング対策、依存症へのケアといった施設と同様の課題があり、これをクリアすることが求められる。