【ヤンゴン=新田裕一】ミャンマー東部のタイとの国境付近で中国系企業が進めてきた150億ドル(約1兆6千億円)の巨大都市開発プロジェクトが非難にさらされている。「違法カジノに使われている」と地元住民から批判を受けミャンマー政府は6月、調査に乗り出すと表明した。
日本経済新聞 2020.08.12:https://r.nikkei.com/article/DGKKZO62536270R10C20A8FFJ000?s=5
中国が推進する政策“一帯一路”
中国が推進する政策“一帯一路”の重要な投資開発プロジェクトとして、タイとミャンマーの国境における都市(チャイナタウン)開発がある。ミャンマーのシエコッコ地区に総面積120平方キロ、山手線内側のおよそ1.7倍の土地に高級住宅、ホテル、工場、カジノ、ゴルフ場、ショッピングモールなど建設。空港や金融街も備えた国際都市を作り上げるという現在進行中の計画だ。
一帯一路についてはこちらで分かりやすく解説されています!
https://www3.nhk.or.jp/news/special/news_seminar/jiji/jiji22/
この地を実効支配しているのは国境警備隊
じつはこの地域、ミャンマー政府の権限が行き届かない地区で少数武装部隊から公式の国境警備隊に成り上がったという地元組織の勢力圏内。それゆえ開発を担う中国系企業はこの組織を現地パートナーとして事業に着手している。政府管理でないためか、中国系企業は徐々に当初ミャンマー側に認可された範囲を超えた開発を進めたのだとか。
さすがに地元民も反発!
ミャンマー政府だけでなく、地元住民との関係にも軋轢が起こっている。もともと開発にあたっては地元業者にプロジェクト関連の雇用や観光収入を約束していたようだが、それらはほとんど提供されずに中国人労働者が大量に流れこんでくる事態に。
また、2019年には現地で複数の違法カジノが営業。中国やカンボジアで締め出されたオンラインカジノ業者が進出してくるという無法状態になっているとのことだ。
ミャンマー政府が調査に乗り出すことを表明
地元ミャンマーだけでなく、隣接のタイ側からもこの開発に世論の反発が出ているということで、これまで黙認してきたミャンマー政府もついに重い腰を上げて実態調査に踏み切ることを発表。都市開発の道のりは前途多難となりそうだ。