マレーシアの大物実業家、リム・コックタイ(林国泰)氏が経営権を握るクルーズ船運営の雲頂香港(ゲンティン・ホンコン)は19日夜、債権者への支払いを全て停止すると発表した。20日の香港株式市場で同社の株価は一時38%余り下げた。(中略)
光銀国際投資の調査責任者、林樵基(バニー・ラム)氏は「財務ストレスで雲頂香港の所有者は資産売却、あるいは会社全体の清算を迫られるかもしれない」と分析。「清算の公算はあまり大きくないが、リム氏が資金を持たず、資産の買い手も見つけられなければその可能性は残る。その場合、株主の弁済順位は債券保有者に劣後することになる」とコメントした。
Bloombarg 2020年8月20日:
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-08-20/QFCFLIT0G1L101
人件費削減に努めてきたゲンティンだったが…
コロナ以降、3月には役員報酬の全額をカット、管理職の賃金を最大5割カットするなど、積極的に損失の最小化を目指してきたゲンティン香港。
7月末からはクルーズ船運航も業界の先陣を切って再開していた。しかしながら旅行需要の減退は顕著でカジノ客もコロナ前水準へと回復するには相当な時間を要すると推察される。
同社は、手元資金は自社の業務上極めて重要なサービスを維持するために使うと説明。7月末時点での債務残高はおよそ34憶ドル(約3600億円)とのことだ。
マカオや日本参入の意向は…?
グループとしては現時点で日本IR参入の意向に変更はないというが、来年には同社の悲願でもあるマカオのカジノ営業権再入札(ゲーミングコンセッション)も控えている。
事業の立て直しが不十分なうちは大きな投資も決断できないと思われるが… どうするゲンティン? 今後の動向に注目が集まっている。