マカオの議員が、マカオ特別行政府に対して、新型コロナウイルスがもたらした経済的苦難の克服を助けるために、オンラインギャンブルの導入を促している。
政府に送られた書面による質問の中で、ホセ・マリア・ペレイラ・コウチーニョ議員は、新型コロナウイルスがマカオのゲーミング及び観光業界に与えている影響に関する懸念を示し、マカオ特別行政区は新型ウイルスの世界的流行前に経験していた好調な状態には戻らない可能性があることを警告した。(中略)
同議員は「マカオがインタラクティブ・ゲーミングを導入すべきということが指摘されている。マカオ特別行政区政府は、ゲーミング税からの税収を増やしさらにマカオのゲーミング業界を発展させるためにも、インタラクティブ・ゲーミングへの正式な基準と規制を確立し、インタラクティブ・ゲーミングソフトウェアを共に開発(すべきだ)」と述べた。
また、同議員はマカオが、英国などのヨーロッパ諸国のオンラインゲーミング政策を参考にすることも提案しており、同国では2005年賭事法(Gambling Act 2005)によってiゲーミング分野の多数の企業がロンドン証券取引所に上場する道を切り開いた。
出典:iag JAPAN
https://www.asgam.jp/index.php/2020/09/23/macau-legislator-urges-sar-to-introduce-online-gambling-jp/
マカオの将来像は?
全労働者の3分の2が観光・エンタメ業に従事しているという世界一のカジノ都市・マカオ。これまでは中国本土のギャンブル需要で大きく成長してきたものの、昨今のコロナ禍においてはその依存経済の脆弱性が露わになった。
経済関係者は将来のマカオについて『産業多様化を強く意識するものの、具体的構想はどれも長期間を要する』という。マカオの現実は、今後もしばらくゲーミング産業を牽引しつつ業界発展の道を模索する以外になさそうだ。
オンライン化が世界の流れ
そんな中、感染拡大が世界中のカジノユーザーをオンラインへと向かわせている。とあるメディアでは『オンライン市場はすでにアジアにおけるランドベース(現実)カジノの収益を追い越している』とも。
また、顧客の大半は中国人で本土での犯罪や社会問題の増加に繋がっているとも言われ、中国当局がオンライン業者に対し規制を強めているのにはこういった経緯もあるわけだ。
マカオがゲーミングの最先端都市
今回の議員提言は、世界的なオンライン化の潮流に対してひたすら禁止の姿勢を貫いてきたマカオ政府の方針に一石を投じるもの。しかもマカオではオンラインについて全くノウハウがないわけではなく、法においてもインタラクティブ・ゲーミングと呼ばれきちんと定義されている。
オンライン産業の育成は、将来的にはパンデミックのような混乱に対してマカオ経済に耐性を持たせるという重要な意味を持っている。一方で、箱モノ以外何一つ考慮していない日本のIR計画は、世界のゲーミング業界において時代遅れになってしまったのかもしれない。