マカオ司法警察局は10月6日、ギャンブラー相手の両替時に偽造紙幣を使ったとして、中国本土出身の30代の男を巨額詐欺及び偽造紙幣講師の疑いで逮捕したと発表。
警察によれば、同月3日に中国本土からギャンブル目的でマカオを訪れた男性が、中国本土の友人から人民元から香港ドルへの両替を行う男を紹介され、コタイ地区にあるカジノIR(統合型リゾート)併設のホテル客室内で面会し、72万5600人民元(日本円換算:約113万円)を80万香港ドルに両替する取引を行ったという。
この際、ギャンブラーは男の要求に沿って、男が指定した中国本土の銀行口座へ人民元で振り込み、男が着金確認後、いくつかの束になった香港ドル紙幣を差し出してきたとのこと。しかし、紙幣を数えている際、手触りに違和感があったといい、すべて偽札だったことに気づいたため、即警察へ通報したという。
人の目を欺くにはカラーコピーで十分?
見た目や手触りなどが本物とは違うと言われる紙幣のカラー印刷。しかし、この手の詐欺が未だ世界中でしばしば発生している通り、実際にその違いを見抜けないケースは思いのほか多い。機械の目をごまかすのは至難の業だが、人の目をごまかすのはさほど難しくないようだ。
複数のデザインで発行されている香港ドル
事件の舞台となったマカオでは地元通貨のパタカと香港ドルに加え、一部地域では中国元なども流通。しかも複数の銀行が別々のデザインで紙幣を発行していることもあり、元々人の目でだけで全ての偽造を完璧に見分けるのは困難な環境と言える。
しかも、カジノ目当てにあらゆる国の外貨が集まってくる事情も見逃せない。過去には偽造が横行している特定の通貨だけが急に利用ができなくなることもあった。
また、マカオに限った話ではないが、シンガポールドルのような超高額紙幣はリスクの大きさから市中で両替してくれるところはほとんどないのが実情だ。(※シンガポールの1万ドル札は日本円で約80万円相当)
日本は世界的に珍しい偽札非流通国
ちなみに、一万円札をはじめとした日本の紙幣は“張細密画線”や“透かし”“ホログラム”など、人の目で区別するための最新技術で偽造対策がなされている。また、国内に流通しているコピー機やプリンターなどには紙幣コピーを未然に防ぐ仕組みが内蔵され、社会生活の中で偽札を掴まされる心配はほとんど無い。
“先進国で偽札がほとんど流通していないのは日本だけ”と言われるほど、世界的に見れば偽札事件は日常茶飯事。今回の犯人グループの出身地である中国では、過去に銀行のATMで下ろしたお金に大量の偽札が混じっていた事件なども起きている。